加計呂麻島
鹿児島県の奄美大島の南端から対岸に見える加計呂麻(かけろま)島は、山がちな地形と入り組んだ海岸に囲まれた、静かで自然豊かな島です。
島の主要な産業は製糖業で、他の南西諸島の島々と同じく、薩摩藩の圧政による搾取とも言えるサトウキビ生産の奨励に端を発します。
加計呂麻島の黒糖は、そのような厳しい歴史を経て、現代に至っては島の特産品となり、奄美諸島で生活する人のみならず、観光で訪れた人のお土産として重宝されています。
島の主要な産業は製糖業で、他の南西諸島の島々と同じく、薩摩藩の圧政による搾取とも言えるサトウキビ生産の奨励に端を発します。
加計呂麻島の黒糖は、そのような厳しい歴史を経て、現代に至っては島の特産品となり、奄美諸島で生活する人のみならず、観光で訪れた人のお土産として重宝されています。
砂が白く、底深くまで透き通った海がとてもきれいです。
奄美諸島と同じく黒糖の生産が盛んな沖縄では、島や地域ごとに大きな製糖工場があり、その地域で生産されたサトウキビが工場に集められてまとめて加工されるため、味や品質がある程度一定に保たれていますが、
加計呂麻島には4つの製糖会社があり、それぞれに原料となるサトウキビの種類や、使用する石灰の量、製法などに微妙な違いがあり、製造元ごとに味の個性があるのだそうです。
「だから、みんな好みの味を選んで買ってるんだよ。」と、乗っていたバスの運転手さんが教えて下さいました。
加計呂麻島特産のサトウキビの絞汁を煮詰めて黒糖を作っているところ。1度に約2時間は煮詰めるのだそうです。
そんな加計呂麻島で唯一、個人で製糖業を営んでいるのが、中田さんご夫婦です。
中田さんは加計呂麻島で生まれ育ち、加計呂麻島の真珠養殖場で定年まで勤め上げた後、奥様と二人で製糖業をはじめたのだそうです。
現在は加計呂麻島の対岸のまち・奄美大島の古仁屋に住んでおり、毎日加計呂麻島に通ってサトウキビの栽培や黒糖の製造などを行う生活を送っていらっしゃいます。
以前は島内にある約30の集落で、集落ごとに黒糖の製造が行われており、定年退職後に昔の記憶を頼りにサトウキビの栽培や黒糖づくりをスタートして、今年で5年目に入ります。
夫婦で交代しながら搾汁を煮詰めます。釜の燃料にはサトウキビの搾りカスも使用されます。
サトウキビと一口に言っても、多種多様で、現在は搾汁がたくさん取れるよう品種改良された品種が主流になっています。
ですが、そんな中、中田さんは"タイケイ種 "という古来原種のサトウキビを栽培し、昔ならではの重油の搾汁機を使用するという、原料にも製造方法にもこだわった黒糖を生産しています。
粘度を見たり、焦げないようにしたり、気が抜けない作業が終わると、煮詰まった搾汁は巨大な鍋に移されます。
煮詰めた搾汁に空気を含ませることで、がちがちの塊になることを防ぎ、崩れやすく味もマイルドになるのだそうです。
「だからたくさんは作れないんだよ。」と言う中田さんから、鍋の端からつまんだできたての黒糖を味見させて頂きました。
暖かくて柔らかい黒糖は、口の中でふわっと溶けて、絶品でした!びっくりするくらい美味しかったです。
やっぱり出来たてが一番美味しいものなのだそうです。
できたての黒糖は、あったかくて、やわらかくて、ほっぺた落ちそうでした(((o(*゚▽゚*)o)))
もちろん、冷めてもとても美味しくて、単純に甘いものではなく、黒糖独特の風味がありつつも爽やかで品があり、ついつい小さな塊をぱくぱく食べてしまいます。
黒糖の美味しさという以前に、味を今まで知らなかったんだと思わされます。
中田さんがタイケイ種にこだわる理由は、この味の良さなのだそうです。
平たいバットに移された黒糖は、少し暖かさが残るタイミングで切り分けられます。時間との勝負です。
中田さんが加計呂麻島から奄美大島の古仁屋に移り住んでかれこれ40数年経つそうですが、その間、仕事で加計呂麻島に毎日通いつつも、先祖代々の土地は何もしないまま放置状態だったそうです。
定年退職後にこの土地で何かできないかと考えた時に、サトウキビの栽培を思いついたそうですが、それだけでは収益が少なく、他に何かできないかと考えていたところ、ちょうど搾汁機や釜などのサトウキビの加工に必要な道具を譲ってもらったのだそうです。
土地があり、製糖に必要な道具も揃ったところで、長年ずっと黒糖を製造している他所の工場とはどう違うものを作っていこうか?と考えて辿り着いたのが、生産性は低いものの味の良いタイケイ種の黒糖を生産することでした。
ほとんど電動化されている中、他ではすっかり見ないものになってしまった重油式の搾汁機。
生産性の良い品種のサトウキビの栽培が主流となっている中、タイケイ種による黒糖づくりを行う製造元は少なく、食べてくれた人が味の違いに気づき、「美味しい!」と言ってくれることが、中田さんの喜びであり、モチベーションになっているのだそうです。
サトウキビを育てたり刈ったり、火を焚いて搾汁を煮詰めたりする作業は、とても手間も体力もかかる作業ですが、中田さんはにっこり笑いながら「黒糖作りは楽しいよ。」と語って下さいました。
サトウキビと旦那さんの写真が目印のパッケージは、姪御さんのデザイン。
★中田さんの黒糖が購入できるお店
・ビッグツー奄美店 鹿児島県大島郡龍郷町中勝580
・ホテル ビッグマリン奄美 鹿児島県奄美市名瀬長浜町27-1
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